誰にも知られることなく逝ったヒーロー、天才数学者の話【映画】イミテーションゲームのまとめ・感想
今回見たのはこちらの映画!
てっきりライアーゲームみたいな、フィクション頭脳ゲームの話とかかと思っていました。実際にあった衝撃のストーリーだったのであらすじ(背景)と感想を紹介します!
あらすじ
舞台は第二次世界大戦。連合軍側(イギリス)はナチスドイツとの戦争に勝つため、ナチスで使われているエニグマ(暗号機)の解読をしようとします。そこでイギリス人の天才数学者、アラン・チューリングをコードブレーカーとして雇う。10人がかりで取り組んでも確率的に解くのに2千万年はかかる暗号をアランは解くことができるのか・・・!?
そして、国がアランを戦後も50年間隠していた理由とは?
数々の賞を受賞している非常に高い評価の高い映画です!
まとめ・感想(ネタバレ)
アランのエニグマの解読は見事で感心しました。しかしそれよりこの映画をより魅力的にしてるのが、国が彼を隠しておいた歴史的事実じゃないでしょうか。
誰もが気になったであろう点についてをいくつかあげていこうと思います。
エニグマの解読を隠しておかないといけなかった理由とは?
ついにエニグマを解読し、大きな貢献をしたアラン。しかし、戦争が終わった後もエニグマについては一切口外してはならないと義務付けられました。次の戦争が万が一起こったときに「エニグマを解読した」という事実を知られていては困るからです。
しかし誰に知られずとも、戦争を2年も早く終わらせ多くの命を救ったアランはヒーローであるはず。なのにそうはさせなかった環境が当時のイギリスにはありました。
アランはゲイだったからです。
この事実から、アランは「誰も知らないヒーロー」でもなく「犯罪者」になりさがってしまうのです。
当時のホモセクシャルの立場とは?
当時のホモセクシャルの人は仕事を奪われたり社会から消される立場にありました。当時の法で4万9000人の方が有罪となり、アランは例外として薬(ホルモン抑制剤)を飲むことで仕事を続けることを認められました。
アランは、「犯罪者」というレッテルを貼られたまま一生を終えます。41歳という若さでの彼の死には、いろいろなとらえ方があるみたいです。
彼の死は本当に自殺だったのか?
映画では自殺で生涯を終えたと紹介されていましたが、調べていると「政府に殺された」という説がたくさんでてきます。
彼が飲まされていた薬に原因があったのは明らかで、自殺でもアクシデントでもなく、操作された死であったと思われているようです。
英語ですが参考はこちら
(自殺だったという説は間違ってる可能性が高い、という記事です。)
アラン役を演じたベネディクト・カンバーバッチの言葉。
「アラン・チューリングは、すべての人間がそうであるように、与えられて当然の愛を求めたがためだけに、彼を犯罪者呼ばわりした社会によって、訴追されたばかりか、ほぼ間違いなく人生を早く終えるよう促された。60年後、同じ政府が彼を恩赦する、「赦す」といった。これは嘆かわしいと私は思う。なぜなら、赦しを可能にしたのはチューリングではなく政府の行為であり、他の4万9000人の訴追された男性たちも同じ処遇を受けて当然だからだ」
彼は絶対に政府の陰謀があったはずと 信じているようですね。
「ゆるす」という言葉にも怒りを隠せずにいます。
ジョーンという女性のすごさ
もしかしたらアランより頭のよかったジョーン。アランは彼女に恋愛感情がないのに結婚しました。エニグマを解読するために利用したのです。
それを打ち明けられた彼女の反応がすごいと思いました。形だけの夫婦。そういう関係でもいいと言えるのは相当の覚悟です!私だったらブチギレしてると思います。笑
アランが「君に興味をもったことさえない」といい彼女を突き放したときにジョーンはやっと彼を殴りましたが・・・。
ジョーンが再婚した後も、友情が残っていたようで素敵な信頼関係だなと思いました。
現実と映画の人物像の差は?
映画の中では素敵な関係を持ったふたりでしたが、実際もそうだったのでしょうか?
ウィキペディア情報ですが、結婚した経緯も離婚した経緯も同じで、ふたりは親友と言える仲だったようです。
現実ではジョーンは彼がホモセクシャルだと打ち明けられたとき、心当たりがあったのかあまり驚かなかったそう。振り返って見ると映画でも驚いてはいなかったような。「それでもいい」という反論を前もって用意していたような会話でした。
そして、アランが死ぬまで親しい仲であり、ジョーンは彼を気にかけたそう。これも映画でちゃんと描けていたと思います。
全体的に、人物像はマッチしているのでは?
映画が現実からかけ離れていることを知ると少しがっかりしてしまうのでホッとしました( ・∇・)
まとめ
エニグマの解読によって彼が救った命は1400万人にのぼると推測されています。いま生きてる多くのイギリス人は、アランがいなかったら存在してなかったと思うと怖いです。
とても良い映画でしたので是非みてみてください。
以上!
大人なほめ方、断り方、反論のしかたが分からない人!「できる大人のモノの言い方大全」を読もう
私、話すの得意じゃないな~とつくづく思います。
適切な言葉が適切なときにでてこない!
ということで、
前から気になってた「できる大人のモノの言い方 大全」を買ってみました!
- 作者: 話題の達人倶楽部
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 2012/09/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 18人 クリック: 237回
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紹介
うまく人を褒められない、断れない、反論できない・・・。相手を傷つけない言い方ができない・・・。言葉の難しさに頭を悩ませている人はたくさんいると思います。
私は言ってしまったことにあとから「あっ、今のはまずかったかな・・・」と思うことがたくさんあります(´;ω;`)
この本は、次も会いたいと思わせる別れの一言、スマートに断りたいときのうまい言い方、相手を怒らせずにクレームをつけるコツ・・・、など、細かいシチュエーションの例をあげてるので、非常に実行しやすいと思います。
こんな人にオススメ!
買う前に注意してほしいのが、あなたが誰と話すことを想像してるかです。
学校での友達がもっと欲しい!という方は、この本の需要はあまりありません。なぜなら、かたくるしいフレーズばっかり紹介されているからです。
どちらかというと、職場の人といい関係を築きたいとか、プレゼンを成功させたいとか、交渉先で失敗したくないとか、まさに「大人な」世界にいる人たちへの本だと思います。
感想
私はまさかの前者でした。笑
友達を傷つけないしゃべりかた、距離の縮め方などを知りたくてこの本を買ったのですが・・・。まさに「大人の」モノの言い方を紹介してます。
(タイトルをちゃんと見てない私が悪い)
「手前味噌で恐縮ですが」
「お懐かしゅうございます」
「お電話が遠いようで」
など、アメリカの大学に通ってる私には他の星の言語のようでした。
手前味噌なんて言ったことないよおおおおお!
確かにすべて「的確な応答」だったので、(使うことは今のところないけど)ためになるフレーズ集でした。こういう返し方ができるのか・・・!という風に。
私にとっては、フレーズ集よりも、章の最後に紹介されてる「間違った日本語の使い方」とか「会話の心得」が参考になりました。シチュエーションは関係なく、どんな場合でも(気の慣れた友人と話すときでも)使える情報だったからです。
たとえば・・・
否定的なあいづちを使わない。
「まさかー」「そんな!」「ウソー」といった疑うようなあいづちは相手を傷つけかねない。私は「ウソー」が口癖化しているので気をつけなくては。
「やっぱり」の使い方。
本来「やっぱり」は「思った通り」という意味なのに、「やっぱり行かない」など意見を変えるときに使うことが定着してしまっているそうです。
人を褒めるときは具体的にほめる。
これは本当に気を付けたい。私は「すごいね」とか「やばいね」とか言いがちです。何がすごいのかを言いましょう。
最後に
きっと日本の働き者には参考になることがたくさん詰まっている本だと思います。実際に私のようにまだ使う機会がなくても、いづれ日本で働く方は、知ってて損はないフレーズ集だと思いました。
ただ人格が変わったような使い方をしないように気を付けましょう。
あくまでも自分を保って、参考に!
ありがとうございました♪
賢いことは良いことか?「アルジャーノンに花束を」のあらすじ・感想
今回読んだのはダニエル・キイスさんの「アルジャーノンに花束を」。
感動しました。
読み終わったあとも心に染みてくるような名作感動ストーリーです。
あらすじ
数人の科学者、心理学者たちは障害者の脳の一部を手術して頭をよくできるのではないかと仮説する。
ネズミのアルジャーノンで実験したところ、著しい知能の向上がみられた(迷路の脱出がうまくなるなど)。
しかしアルジャーノンの成長には大きな欠陥があった・・・。
ここで登場するのが知的障害を持ったチャーリイ。チャーリイはIQ70という低い知能を持ちながらも「かしこくなりたい」と渇望していた。
学者たちは初めて人間の脳で実験を結構することを決める。手術により彼はどんどん頭が良くなってゆくが・・・。
チャーリイはアルジャーノンと同じ道をたどってしまうのか・・・!?
○感動したい人
○脳科学、心理学に興味のある人
○道徳・倫理を築きたい人
○障害者の生活・人生に興味のある人
にオススメ!・・・と言おうと思いましたが!!
はっきり言って誰でも読む価値ある本!
感想
チャーリイの日記(経過報告)という形で本は最初から最後まで書かれていたので、知能の微妙な変化が文で読み取れて非常に面白い!英語と日本語で読むのでは全く別物になってるのだろうから、いつか原作の英語でも読んでみたいなと思いました。
知能が上がっていく場面では、今まで見えていなかった「世の中の汚いところ」が見えてきて、それはそれでつらかったかもしれない。
でも個人的に知能が下がっていくラストのほうが読んでいて悲しかった・・・。チャーリイは賢くなったあともまだ「賢くなりたい」と向上心を持っていました。しかしその願望はかなわず、少しずつ、少しずつ、知能は下がっていくのです。
そしてそれに気が付いていないチャーリイを見るとなんとも言えない悔しさともどかしさがあった・・・。
終盤でチャーリイが向かいの女性の着替えをのぞいた。おそらく、子供のころのように好奇心にあふれた顔を窓に押しつけながら。チャーリイは「なぜあのひとはシャッターをとじてしまったのだろう?」と疑問に思う。なぜだか私はここで号泣した。
一番なりたくなかった屈辱的な姿だろう。でもチャーリイには疑問だらけで分からない。
「アルジャーノンに花束を」は悲しいだけの本じゃない。
ハッキリした答えがでなくとも、考えさせられることがたくさん詰まった本だ。
どっちが本当のチャーリイなのか?
人間はこんなにも知的障害者を「人間」として扱ってないのか?
手術をして初めて友人に馬鹿にされてたこと、母親に捨てられたこと、科学者に人間扱いされてなかったことに気づいたのなら、手術してない人々に優しくする意味はあるのか?
そもそも学者たちはチャーリイに手術をするべきだったのか?
能をいじってまで、賢くなることは良いことなのか・・・?
ぐるぐるぐるぐると考える。難しい・・・。
ひとつだけ伝わったことといえば、
どっちのチャーリイも「人間」である。
チャーリイは「前の僕も人間だったのに!」と心の中で怒り叫んだように、
「賢い=人間」ではないということ。
作者の冒頭メッセージ、「愛と引き換えに知能を手に入れたところで、なんの意味があるだろう?」が心に染みます。
翻訳者のあとがきでは、20代に読んだときは感動し、40代では同情、80代では納得したと書いてあった。
私がもってる感情に一番近いのは感動かな?答えがハッキリ分からないなかでも心に響くものがあったから。納得にはまだまだ遠いかもしれません・・・。
私も年を越えて何回も読みたいと思いました。
以上!
だーっと思うことを書きました!
まとまりのない感想でごめんなさい( ;∀;)
鬼上司との闘い!映画「プラダを着た悪魔」のあらすじ・見どころ
1か月ほど前に飛行機の中で見た映画が、"The Devil Wears Prada" (プラダを着た悪魔)でした。
1か月たってもいい映画だったな~と思える名作映画だったので、あらすじと感想を書こうと思います!
あらすじ
物語の主人公はジャーナリストを目指すアンディー。オシャレな服やブランド物にまったく興味もなかったアンディーが、ひょんなことからアメリカの最先端のファッション雑誌の編集長であるミランダのもとで働けることになる。
ミランダは素晴らしいファッション感覚を持つと同時に、自分の思い通りにことが進まないと部下をすぐクビにしてしまう鬼のようなボス。彼女の期待に1秒単位でも遅れると失格!実現不可能なことを部下におしつけることもしばしば。
アンディーはこんな仕事ありえない、と思いながらも色々な試練を乗り越えてミランダの想像の上を行く対応ができるようになってゆく。それと同時にファッションにも気を遣うようになるが、住む世界が変わったアンディーと彼氏や友人との間に距離が生まれてしまう。
ミランダに振り回されてばかりで、プライベートがあるとはとても言えないが、誰もがうらやむ名誉ある仕事であるのも事実。アンディーはどうするのか?衝撃のラストがまってます。
みどころ
ファッション
ファッションがチラッっとでも好きな人は100%楽しめます!使われたのは当時の最高峰の服や小物で、なんと100万円も使われたそうです。
私はファッションにそんなに詳しいわけじゃありませんが、本気度は伝わってきました。笑
仕事
仕事に悩む人には共感できることが多いと思います。この仕事辞めたほうがいいのか?とか、なんのためにこの仕事始めたんだっけ?と悩んでる人は、何か答えが出てくるかもしれません。
美人たち
ファッション業界のストーリーなので、美人がたくさんいます!モデルのようなスレンダーな人が好きな方はこの映画を見ると目の保養になるかと思われます。笑
でもアンディー役のアン・ハサウェィがぽっちゃり呼ばわりされてたのは、さすがにびっくりしました。普通に細いです。
感想(ネタバレ)
多分1か月たった今でも印象に残ってるのは、あのラストがあったからだと思います。アンディーがミランダのもとを去るシーン。決め手はミランダが言った、「私はあなたになにも強要したことはないわ。すべてあなたが選んできたことでしょう?」という言葉。
今までやめるタイミングはたくさんあったのに、ここでやめるの!?とも思ったけど、考えれば考えるほどこのラストが好きになる。多分、このときアンディーは初めて自分の本当にしたいことを思い出したんじゃないかな。
ラストはスカッとしたけど、それ以上に2人の間の謎の友情みたいなのが生まれたのがたまらなく好きでした。
風のうわさで届いた「今までで最悪の部下だった」というミランダの感想は紛れもなくほめ言葉。アメリカお得意のサーキャズム(皮肉)ですね。 アンディーも思わず笑顔になりました。
最後に
ということで、個人的好きな映画TOP3に入るぐらい良かったです。そういえばお兄ちゃんが「今まで見た映画の中で1番好き」と言ってたのを思い出しました。
ネタバレ読んじゃった人も是非見てみてください(^o^)/
以上!
自分の罪とどう向き合ってゆけばいいのか?「償い」の感想・考察
ども、えみちです!
本の感想を読みたい方は↓の下まで飛ばしてください!
私事ですが、、
本の感想ブログと、日記みたいなブログを2つやっていこうと思っていたら日記のほうにかなり時間がとられていました。
大学の勉強もある上に「本をたくさん読む」という目標を持ちながら日記ブログもやっていくのは自分には到底無理だと判断したので、やっぱりこっち一本に集中することにします。
そのかわり、このブログで本や映画と関係ないことも書くかもしれません(・∀・)
という、報告&改めてのスタート宣言でした!
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あらすじ
36歳の医師・日高は子供と妻の死亡に絶望し、自分に失望し、ホームレスとなった。行きついた街で、かつて自分が命を救った少年と出会う。同時に、その町では次々と殺人事件が起き、日高は自分の救った少年が犯人だと疑い始める。
日高が昔犯した罪は「償う」ことができるのか?一度絶望した魂が救われることはあるのか?自分の過去と向き合うことを考えられる感動のミステリー小説。
罪ってなに?
この本の本質は、罪をどう「償うか」ということなのだと思うけど、私はそもそも罪とはなんなのか?ということを考えさせられた。
正義と罪の定義は時代や場所によって変わっていく。戦争で人を殺したらそれは正義。正当防衛で人を殺すのはおっけー。14歳の少年が人を殺しても罪にはならない。
すべては裁判所、つまり人が作り上げている定義なのだ。場合によって罪を問われないなら、本当の罪とはなんなのか?
一方で、容疑者の妻・夕子は、「心を殺した人殺しはなぜ罰を受けなくて済むのか」という疑問を抱いていた。人の心を殺してしまって、その人がもう一生戻れないとしたらそれは大きな罪にはならないのか?
日高は、自分は妻の心を殺してしまっていたのではないかと悩むことになる。
罪とはなにか?本を読んでこれに答えがハッキリ出たわけではないんだ。けど、作者は罰がどうこう以前に「人は変われる」という希望を残したと思う。
どう償うのか?
日高はすべてを失い、自分が最低な人間だったことに気づくと、かつて命を救った少年のことを「自分が唯一おこなった善」として、自身の息子に対するような特別な感情を持つようになった。この時点では、救った少年の存在を見守ることが「償い」であると日高は勘違いしてしまったのだと思う。
しかしその甘い考えは、少年が人殺しに育っていた事実で崩壊してしまう。まさか自分のおこなった唯一の善さえ、悪いことだったのか?
少年を見守ることではなく、本の最後に日高が(殺人犯であった)少年と心を通わせるところで、初めて日高は罪を償えたのではないかと、私は思う。
償いは問題から目をそむいて、過去を忘れ去ることではない。問題を直視して向き合っていくことこそが償いなのだと、この本は言ってるのでは?
まとめ
感想を書くことで、読み終えたときには気づかなかったことが見えることがわかりました。笑
(問題を直視することが償いだなんてまとめ方、考えてなかった)
とにかく、ハッピーエンドでもあるし、前向きになれる本だと思います。自分が過去にしたことに罪悪感があって吹っ切れられない人は、この本に少し勇気づけられるんじゃないかな。
以上えみちでした(´▽`)
他に違った考察などある人はコメント教えてください♪
ユダヤ人の収容所での精神状態とは?「夜と霧」を読んで生と死について考える
学校が始まって全然読書が進んでないえみちです。
久々の更新です!
最近私が読んだ本がこれ。
- 作者: ヴィクトール・E・フランクル,池田香代子
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2002/11/06
- メディア: 単行本
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まとめ・感想
ナチス・ドイツ時代に、ユダヤ人たちがどう収容所を生き延び、そして(大多数が)どう死んでいったかを心理学者の観点から書いた本。
心理学の観点?というと、収容所にいれられた人々の心理を第1段階から第4段階に分けて書かれていて、それぞれの段階で彼らの心がどう変化していったのかが分かります。
最終的な収容所での心理状態を言うと、すべての自由を奪われたうえに「自分を持つ自由」も奪われる。自分に権利があるなどと考える自由もなくなるんです。
そんな中で、ごく少数だけど自分を保てたツワモノがいたそうです。その人たち(そしてこの本の作者も忘れてはいけない)から「生き方」というものを学びました。
終始悲しい内容でしたが、人生について考える機会になりました。その中から印象に残ったことを3つにまとめます!
感想① - 精神が寿命を左右する
分かったのは、命と精神は深くつながっているということ。
体力面で生き延びれるのはごくごく少数だけど、その中でも「生きる希望」がない人は絶対に生き延びれなかったそうです。
ある人は「娘に会うため」。
ある人は「自分にしか終わらせられない研究の続きがあるため」。
興味深いのはクリスマスの日に死者が何百・何千人とでたこと。
その理由は「クリスマスになんかの奇跡が起きるんだ」とか、「クリスマスだから家族に会わせてもらえるだろう」という勝手な希望と噂が広まったのち、何も起こらなかったから。ひどく落胆した彼らは次々に倒れてゆく。
希望が人に与える力ってすごい。そして、希望が奪う力も。
感想② - 苦しみをどうとらえるか
ある人は、神との契約をしたそうです。
「僕がこれだけ苦しむ代わりに、妻と娘を楽にしてあげてください。」
その人の中で契約はちゃんと成立してて、そうすることで喜んで苦しむことができたそう。
現代の人からしたら馬鹿げたことに聞こえるかもしれないけど、ある意味スマート。
この人は苦しみを喜びに変えることができたのだから。
また、ある女の人は死ぬ間際にこう言ったそうです。
「私はここに来られて幸せです。だって、もし来なかったら、今までどれだけ幸せな日々を送ってたか気づくことができなかったでしょ?」
強い。強すぎ。涙腺崩壊パートでした。
この人もまた、苦しみを喜びに変えたのです。
苦しむっていいことなのか?
簡単には答えられないけど、やっぱりとらえ方次第で人は強くも弱くもなれるんだ。
感想③ ‐ 繰り返さないこと
筆者によると、心理ステージの第4段階が一番苦しくて難しいらしい。
でも第4段階は収容所から出たあと。なぜ出たあとが難しいのか?
ほとんどの男性生存者の妻や子供は、死んでた。
あれほど四六時中あこがれていた「外の世界」にいざ出てみると、何もなかったのだ。あれほど苦しい日々を耐え抜いたのに。
すると、「いい人」だった者が、物や人にあたったりするそう。「あれほど苦しい思いをさせられて、すべて奪われたんだからこんぐらい何でもないだろ。」と、良心をなくしてしまうそう。これが第4段階。
本を読んでる私からしたら、「良心が残ってるほうがおかしいだろ」と思いましたが、筆者はそれを打ち消します。
あんな経験をしたからこそ、繰り返してはいけないのだ。
本当、なんも苦しい思いもしてない私が語っていいことじゃないとは思うし、図々しいとも思うんだけど、筆者の経験が私の心に響いたので書く。
やられたからってやりかえしちゃダメだ。
繰り返しちゃダメだ。
最後に
とかいって、私弱いからなぁ。やりかえしたい時もある。
そん時はこの本を思い出してみよう。
「一日スープ一杯で重労働させられるよりは、ましか」って。
心理学を学んでる身としても学ぶことは多かったし、私の悩みがちっぽけなものに思えてきました。その上知るべき歴史の知識もより深くなったので、読む価値ありあり!
読んでくださってありがとうございます♪
自分と照らし合わせる「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」
日本人のマリは、小学4年生から約5年間プラハ(チェコの首都)でソビエト学校に通った。この5年で出会った個性的な同級生たちや先生たちはいつまでもマリの心に残る。大人になったマリは彼女らをさがしに行くと、当時は見えなかった真実がだんだん明らかになってゆく。
確かこんな感じの紹介をどっかで見て、「お!海外経験は私もあるから読んでみよ~♪」って共感できる部分があるのかと思って読んだら、私とは次元の違う話だった。
戦争とか、宗教とか、愛国心とか、共産主義とか社会主義とか民族主義とか。色々。。とにかくスケールの大きい背景が、マリとマリの周りの人々によって明らかにされていく。
マリがプラハで得た経験は誰もしたことがないし、これからもない。
もう断言できちゃう。本にしてくれてありがとう!!!!!!!!(誰)
本には3章あって、それぞれ違う同級生について書かれてるのでひとつづつ感想を書いていきます!
ネタバレ注意!
第1章「リッツァの夢見た青空」
1人目はギリシャ人のリッツァ。彼女はマリの知らない大人びた世界感を持っていて、いつも住んだことのない故郷のギリシャの空はすごく綺麗なんだと目を輝かせて言ってた。
でも、大人になったリッツァは結局ドイツの生活に落ち着いていた。
リッツァが語る、チェコやスロバキアやギリシャやドイツの良いところ悪いところが面白かった(完全にリッツァの個人的な感想だろうけど)。行ったことない国の想像が少し豊かになった気がする。特に私はヨーロッパ周辺の知識が皆無だったので(´;ω;`)
「私はギリシャ人だと思ってたけど結局ヨーロッパ文明の中で育った人間だったのね。」という文を思わずハイライトした。
というのは、私も同じような経験があるから。ハーフに生まれて日本育ちで渡米して、「自分は何人なのか?」と自分も周りも気になるところがあるけど、やっぱり日本で育った影響は大きいのだ。先祖やルーツも必ず自分を作り上げていると思うけど、育った場所ってやっぱり大きい。そんなことを思った。
第2章「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」
アーニャに関しては感想がたくさんありすぎる。
どうしようもない嘘つきなのにみんなに愛されるアーニャ、私も魅力を感じたのは事実。でも、でも、なんというかモヤモヤするよ。だってアーニャは周りにだけじゃなくて自分にも嘘をついてるんだ。貴族のような生活をして、ルーマニアの貧富の差は見えないふり。いい人だからさらにモヤモヤするのかもしれない。
「私の親とあなたの親を一緒にするな!」というマリの言えなかった言葉が、痛いほど伝わってきた。
その一方、アーニャに死ぬほど共感した部分もあった。
それが、帰国する際に、「生まれた時からルーマニアに住めなかった分をこれから取り戻すんだ。これから、本物のルーマニア人になってやるの」って言ったところ。
アーニャはルーマニア人としての誇りを持つ反面、ルーマニアで、ルーマニア語で授業を受けれないことにコンプレックスを感じていた。私も15で渡米したときは死ぬほど日本に帰りたかったなぁ。「大学は日本に行って、今住めない分を取り戻すんだ」って。行き場のない情熱は漫画とかアニメに向かったんだけど。笑
大人になるとアーニャはイギリスにいた。アーニャは自分の意思でこうなったというけど、親とか国とか共産主義の陰謀が隠されていて怖い。アーニャも本当はこころの奥底では気づいてるんじゃないかな。アーニャは本当はユダヤ人だったといえ、ルーマニアに対しての愛も、愛してた過去も否定してて悲しくなった。
第3章「白い都のヤスミンカ」
個人的にヤスミンカはとても好きだった、孤独な優等生って感じで。
「マリには、私と同じ種類の孤独を嗅ぎ付けたの」
「孤独?」
「学校行くのつらくない?」
「分かる?」
というやりとりの裏に隠された意味が深すぎて、「子供なのにこんなこと考えてんの・・・!?」とも思った。その孤独の理由とは、当時チェコにいたユーゴスラビア人と、日本人の疎外感。やっぱりいろんな人種のいる環境だし空気を察知しちゃうのかな。
ヤスミンカが最後生きててよかった。
全体の感想
3人のほかにも、50国籍以上の生徒がいるクラスの話は面白い。
(全員金持ちなのは置いといて、)
みんながみんな、自分の母国にプライドを持って、時にはライバル心に燃えて国について語る。面白いのが、小さな国、弱い国から来た子供のほうが情熱が激しいという発見だった。そういわれればそうだよな、って自分の経験からも思った。(東京のひとが「地元魂」みたいなのをあまり持ってないのもこれかな?)
印象に残った子供がいた。内戦が続く南米ベネズエラから来た少年が、「帰国したら僕らは銃殺されるかもしれない。それでも、帰りたい。」といい、1か月もしないうちに一家は母国へ帰り、密入国した理由でそろって処刑された。怖いし、私には理解できないことだけど、少年はためらわず帰ったのだ。
愛国心ってなんなのか。思想ってなんなのか。親から受け継ぐものをどう受け取るのか。
とにかく、私は自分がどれだけ幸せなのかを忘れないように生きていかなきゃいけない。アーニャのように嘘をついてはいけない、そう思った。
全然まとまってなくてすいません(・∀・)
読んでくれてありがとう♪