自分と照らし合わせる「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

  

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

 

 

日本人のマリは、小学4年生から約5年間プラハチェコの首都)でソビエト学校に通った。この5年で出会った個性的な同級生たちや先生たちはいつまでもマリの心に残る。大人になったマリは彼女らをさがしに行くと、当時は見えなかった真実がだんだん明らかになってゆく。

 

確かこんな感じの紹介をどっかで見て、「お!海外経験は私もあるから読んでみよ~♪」って共感できる部分があるのかと思って読んだら、私とは次元の違う話だった。

戦争とか、宗教とか、愛国心とか、共産主義とか社会主義とか民族主義とか。色々。。とにかくスケールの大きい背景が、マリとマリの周りの人々によって明らかにされていく。

マリがプラハで得た経験は誰もしたことがないし、これからもない

もう断言できちゃう。本にしてくれてありがとう!!!!!!!!(誰)

 

本には3章あって、それぞれ違う同級生について書かれてるのでひとつづつ感想を書いていきます!

 

 

 

 

 

ネタバレ注意!

 

 

 

 

第1章「リッツァの夢見た青空」

 

1人目はギリシャ人のリッツァ。彼女はマリの知らない大人びた世界感を持っていて、いつも住んだことのない故郷のギリシャの空はすごく綺麗なんだと目を輝かせて言ってた。

でも、大人になったリッツァは結局ドイツの生活に落ち着いていた。

リッツァが語る、チェコスロバキアギリシャやドイツの良いところ悪いところが面白かった(完全にリッツァの個人的な感想だろうけど)。行ったことない国の想像が少し豊かになった気がする。特に私はヨーロッパ周辺の知識が皆無だったので(´;ω;`)

「私はギリシャ人だと思ってたけど結局ヨーロッパ文明の中で育った人間だったのね。」という文を思わずハイライトした。

というのは、私も同じような経験があるから。ハーフに生まれて日本育ちで渡米して、「自分は何人なのか?」と自分も周りも気になるところがあるけど、やっぱり日本で育った影響は大きいのだ。先祖やルーツも必ず自分を作り上げていると思うけど、育った場所ってやっぱり大きい。そんなことを思った。

 

 

第2章「嘘つきアーニャの真っ赤な真実

 

 アーニャに関しては感想がたくさんありすぎる。

どうしようもない嘘つきなのにみんなに愛されるアーニャ、私も魅力を感じたのは事実。でも、でも、なんというかモヤモヤするよ。だってアーニャは周りにだけじゃなくて自分にも嘘をついてるんだ。貴族のような生活をして、ルーマニアの貧富の差は見えないふり。いい人だからさらにモヤモヤするのかもしれない。

 「私の親とあなたの親を一緒にするな!」というマリの言えなかった言葉が、痛いほど伝わってきた。

その一方、アーニャに死ぬほど共感した部分もあった。

それが、帰国する際に、「生まれた時からルーマニアに住めなかった分をこれから取り戻すんだ。これから、本物のルーマニア人になってやるの」って言ったところ。

アーニャはルーマニア人としての誇りを持つ反面、ルーマニアで、ルーマニア語で授業を受けれないことにコンプレックスを感じていた。私も15で渡米したときは死ぬほど日本に帰りたかったなぁ。「大学は日本に行って、今住めない分を取り戻すんだ」って。行き場のない情熱は漫画とかアニメに向かったんだけど。笑

大人になるとアーニャはイギリスにいた。アーニャは自分の意思でこうなったというけど、親とか国とか共産主義の陰謀が隠されていて怖い。アーニャも本当はこころの奥底では気づいてるんじゃないかな。アーニャは本当はユダヤ人だったといえ、ルーマニアに対しての愛も、愛してた過去も否定してて悲しくなった。

 

 

第3章「白い都のヤスミンカ」

 

個人的にヤスミンカはとても好きだった、孤独な優等生って感じで。

「マリには、私と同じ種類の孤独を嗅ぎ付けたの」

「孤独?」

「学校行くのつらくない?」

「分かる?」

というやりとりの裏に隠された意味が深すぎて、「子供なのにこんなこと考えてんの・・・!?」とも思った。その孤独の理由とは、当時チェコにいたユーゴスラビア人と、日本人の疎外感。やっぱりいろんな人種のいる環境だし空気を察知しちゃうのかな。

ヤスミンカが最後生きててよかった。

 

全体の感想

 3人のほかにも、50国籍以上の生徒がいるクラスの話は面白い。

(全員金持ちなのは置いといて、)

みんながみんな、自分の母国にプライドを持って、時にはライバル心に燃えて国について語る。面白いのが、小さな国、弱い国から来た子供のほうが情熱が激しいという発見だった。そういわれればそうだよな、って自分の経験からも思った。(東京のひとが「地元魂」みたいなのをあまり持ってないのもこれかな?)

印象に残った子供がいた。内戦が続く南米ベネズエラから来た少年が、「帰国したら僕らは銃殺されるかもしれない。それでも、帰りたい。」といい、1か月もしないうちに一家は母国へ帰り、密入国した理由でそろって処刑された。怖いし、私には理解できないことだけど、少年はためらわず帰ったのだ。

愛国心ってなんなのか。思想ってなんなのか。親から受け継ぐものをどう受け取るのか。

 

とにかく、私は自分がどれだけ幸せなのかを忘れないように生きていかなきゃいけない。アーニャのように嘘をついてはいけない、そう思った。

 

 

 全然まとまってなくてすいません(・∀・)

 読んでくれてありがとう♪