ユダヤ人の収容所での精神状態とは?「夜と霧」を読んで生と死について考える

 

学校が始まって全然読書が進んでないえみちです。

久々の更新です!

 

最近私が読んだ本がこれ。 

夜と霧 新版

夜と霧 新版

 

 

まとめ・感想

 

ナチス・ドイツ時代に、ユダヤ人たちがどう収容所を生き延び、そして(大多数が)どう死んでいったかを心理学者の観点から書いた本。

心理学の観点?というと、収容所にいれられた人々の心理を第1段階から第4段階に分けて書かれていて、それぞれの段階で彼らの心がどう変化していったのかが分かります。

 

最終的な収容所での心理状態を言うと、すべての自由を奪われたうえに「自分を持つ自由」も奪われる。自分に権利があるなどと考える自由もなくなるんです。

そんな中で、ごく少数だけど自分を保てたツワモノがいたそうです。その人たち(そしてこの本の作者も忘れてはいけない)から「生き方」というものを学びました。

終始悲しい内容でしたが、人生について考える機会になりました。その中から印象に残ったことを3つにまとめます!

 

 

感想① - 精神が寿命を左右する

 分かったのは、命と精神は深くつながっているということ。

体力面で生き延びれるのはごくごく少数だけど、その中でも「生きる希望」がない人は絶対に生き延びれなかったそうです。

ある人は「娘に会うため」。

ある人は「自分にしか終わらせられない研究の続きがあるため」。

 

興味深いのはクリスマスの日に死者が何百・何千人とでたこと。

その理由は「クリスマスになんかの奇跡が起きるんだ」とか、「クリスマスだから家族に会わせてもらえるだろう」という勝手な希望と噂が広まったのち、何も起こらなかったから。ひどく落胆した彼らは次々に倒れてゆく。

 

希望が人に与える力ってすごい。そして、希望が奪う力も。

 

 

感想② - 苦しみをどうとらえるか

 ある人は、神との契約をしたそうです。

「僕がこれだけ苦しむ代わりに、妻と娘を楽にしてあげてください。」

その人の中で契約はちゃんと成立してて、そうすることで喜んで苦しむことができたそう。

現代の人からしたら馬鹿げたことに聞こえるかもしれないけど、ある意味スマート。

この人は苦しみを喜びに変えることができたのだから

 

また、ある女の人は死ぬ間際にこう言ったそうです。

「私はここに来られて幸せです。だって、もし来なかったら、今までどれだけ幸せな日々を送ってたか気づくことができなかったでしょ?」

強い。強すぎ。涙腺崩壊パートでした。

この人もまた、苦しみを喜びに変えたのです。

 

苦しむっていいことなのか?

簡単には答えられないけど、やっぱりとらえ方次第で人は強くも弱くもなれるんだ。

 

感想③ ‐ 繰り返さないこと

 筆者によると、心理ステージの第4段階が一番苦しくて難しいらしい。

でも第4段階は収容所から出たあと。なぜ出たあとが難しいのか?

 

ほとんどの男性生存者の妻や子供は、死んでた。

あれほど四六時中あこがれていた「外の世界」にいざ出てみると、何もなかったのだ。あれほど苦しい日々を耐え抜いたのに。

すると、「いい人」だった者が、物や人にあたったりするそう。「あれほど苦しい思いをさせられて、すべて奪われたんだからこんぐらい何でもないだろ。」と、良心をなくしてしまうそう。これが第4段階。

本を読んでる私からしたら、「良心が残ってるほうがおかしいだろ」と思いましたが、筆者はそれを打ち消します。

あんな経験をしたからこそ、繰り返してはいけないのだ

 

本当、なんも苦しい思いもしてない私が語っていいことじゃないとは思うし、図々しいとも思うんだけど、筆者の経験が私の心に響いたので書く。

やられたからってやりかえしちゃダメだ。

繰り返しちゃダメだ。

 

 

最後に

とかいって、私弱いからなぁ。やりかえしたい時もある。

そん時はこの本を思い出してみよう。

「一日スープ一杯で重労働させられるよりは、ましか」って。

心理学を学んでる身としても学ぶことは多かったし、私の悩みがちっぽけなものに思えてきました。その上知るべき歴史の知識もより深くなったので、読む価値ありあり!

 

読んでくださってありがとうございます♪